シトロエン CX PALLAS

おもてなしが上手な、フランスから来た宇宙船

update : 2016.05.20

シトロエンCX PALLASとの出会い

名車にまつわるオーナーの想いや素敵な繋がりを中心に紹介するコラム「LOVING THE CLASSICS」。第1回目は自己紹介を兼ね、私の愛車シトロエンCX PALLASを取り上げたいと思います。

私は、スポーツカーが大好きな父親と走り屋の兄に影響され、クルマは速ければ速いほどカッコイイという刷り込みで育ちました。子供の頃から一番カッコイイのはレーシングカー、そして興味はもっぱらスポーツカーでしたね。

そんな感覚が変わったのは、20代前半に初めて訪れたパリでのこと。街中に溢れるルノー、プジョー、シトロエンといったフランス車はどのクルマも汚れてはいるけど生活に溶け込み、いかにも足として使っている風情がとても魅力的。
タクシーなんかももちろんプジョーやシトロエンで、シートクッションの雲に腰掛けたような心地よさも私にとって初めての体験で、こんなクルマが世の中にあるのか…と、ある種のショックすら感じました。

この経験から、いつかフランス車を持ちたい、乗るならやっぱりハイドロのシトロエンかな…とぼんやりと考えるようになりながらも、それが現実となるのは二十数年後のこと。

そして、念願のシトロエンCX PALLASが我が家に

40代も後半に近づき、次こそはシトロエン、乗るなら金属製のバンパーとホイール・キャップの付いた、美しいCXのシリーズ1と頻繁に口にするようになった私。ある日、京都のシトロエン専門店にいいクルマがあるから見に行こうと友人から連絡が入り、そこで出会ったのがこのクルマ。丁寧に手を入れられており、外装もエンジンも美しくレストアされていました。例の雲のような乗り心地もさることながら、ミシンの糸コマのようにタテにクルクル回るボビンメーター、タイヤが真っ直ぐになるようハンドルを切った状態でも勝手にセンターに戻るセルフ・センタリング・ステアリングなど試乗で得られる全てが未知の感覚。もはや既存の概念のクルマではなく、宇宙船を操縦しているような衝撃です。まさかこの歳で1970年代に生み出されたクルマに、こんなにショックを受けるとは。

そして結局、このシトロエンCX PALLASが我が家に来ることになっちゃいました。

それから2年経った今でもCXのフカフカなシートに乗り込むと「おもてなし」をされているような気持ちになります。
乗る人のためには便利な機能だけではダメなことを、シトロエンCXは40年も前から知っていたのでしょうね。

取材・文 : 平間裕司( Style Wiseman )

シトロエン CX PALLAS

シトロエン CX PALLAS

名車DSの後継車として1974年にデビューしたシトロエンのフラッグシップモデル。1989年まで製造された。1975年にヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。 これはシトロエンにとって、GSに続く2度目の受賞であった。シトロエンは、1976年にフランスの自動車会社プジョーとPSAグループを形成しプラットフォームやエンジンの共通化を進めたため、CXは「純血」シトロエンとしては最後のモデルとなった。

1980~1989
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