Mercedes-benz 280S

“タテ目”の呼び名で愛される、
オールドメルセデスの代表格。

update : 2019.10.11

憧れだった“タテ目”メルセデス

名車にまつわるオーナーの想いや素敵な繋がりを中心に紹介するコラム「LOVING THE CLASSICS」。第36回は、1971年型メルセデス・ベンツ 280Sをご紹介します。この280SはタイプW108と呼ばれる、当時のメルセデス・ベンツ のフラッグシップモデルとなります。

当時、このシリーズ最速とされた300SEL 6.3をベースに、レース用エンジン設計会社として設立間もないAMGが耐久レース仕様を製作。1971年のスパ・フランコルシャン24時間レースに初出場し、総合2位とクラス優勝を獲得して話題となった、通称“Red Pig”と呼ばれるレーシングカーをモチーフにレストアされたものです。

田代さん(画面左)と、オーナーの栗林さん(画面右)

出会いから生まれた“Red Pig”仕様

サーキット走行も趣味とされるオーナーの栗林さんは、縦型のヘッドライトのデザインが象徴的で、今でも“タテ目”の愛称で親しまれるこのメルセデスに憧れ、満を持して手に入れられます。そしてレストアをする工場を探している時に、同じサーキットで名を馳せる田代さんと出会います。輸入車のチューニングやパーツ販売の会社を経営される田代さんに、280Sへの想いを伝えたところ、どうせレストアをするのであれば、思い切って憧れの“Red Pig”を作ってしまおう!という話になったのです。こうしてノーマル状態の280Sを“Red Pig”化するプロジェクトがスタート。エンジンや足回り交換などのオーバーホールはもちろん、“Red Pig”に近づけるべく、ヘッドライトの交換・追加、ドイツから取り寄せた当時と同様のホイールに換装、ロールケージを装着するなど、走り出すまで、実に2年の年月が掛かったといいます。

憧れの裕次郎のメルセデスカラー

栗林さんは280Sをレストアするにあたり、もうひとつこだわったのがオールペイントしたボディーカラー。薄いゴールドともとれるようなこのシルバーは、北海道小樽市にあった「石原裕次郎記念館」に展示されていた裕次郎の愛車、メルセデス・ベンツ 300SLと同じカラーだそうです。「乗るなら憧れの石原裕次郎のメルセデスと同じカラーリングを忠実に再現したい!」とディーラーにカラーの情報を確認したものの、約50年も昔のため資料は残っていないとのこと。何としても裕次郎シルバーを再現したい一心で、当時ディーラーにおられた方を辿って、ようやくカラーの情報が判明。しかし、当時の調合表記から現在の塗料で再現することが一般的には難しく、さらに塗料に精通した専門家に現在の調合に置き換えてもらい、やっとのことで独特なシルバーカラーが表現できたそうです。栗林さんにとって裕次郎シルバーは、それほど思い入れのある色だったのです。

クラシックカーレース出場を目指して

サーキット走行を趣味とする栗林さんの最終目標は、この280Sでクラシックカーレースに出場することだそうです。パーツ集めも大変で苦労も多い中、完璧な状態に仕上げられたエンジンと足回りに「ミッションの載せ替えやマフラーの交換など、少しずつ速く走れる仕様にしていきたい」と楽しそうに話されていました。オーナーの栗林さんとメカニックの田代さんが創りだす、オールドメルセデスのレーシングカー。サーキットを疾走する姿を目にする日が楽しみです。

文 :平間裕司 編集・写真:脇本孝彦

 Mercedes-benz 280S

Mercedes-benz 280S

1965年のフランクフルト・ショーで、W111型セダン(通称フィンテール)に代わる新型4ドアセダンとして、W108/109型シリーズが発表された。デザインはテールフィンが廃止されて、よりモダンに変貌し、FRの駆動方式など多くの基本メカニズムが踏襲された一方で、W111型では上級グレードのみの採用に留まった4輪ディスク式が全車に標準化された。今回取材をした「280S」は、1968年1月に発表され、2.8L直6SOHCツインキャブレター仕様のエンジン(最高出力140ps)が搭載されている。

1970~1979
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