FIAT ABARTH 1000TC

アバルトの伝説を作った、
量産型のツーリングカー

update : 2019.07.03

本国でモディファイされた
コンペティション・モデル

名車にまつわるオーナーの想いや素敵な繋がりを中心に紹介するコラム「LOVING THE CLASSICS」。第33回は、1967年型フィアット・アバルト1000TCをご紹介します。フィアット・アバルト1000TCは、フィアットのチューナーとして著名なアバルトがフィアット600をベースに、ツーリングカー・レースに出場することを前提として開発した、戦うアバルトです。

今回取材させて頂いたフィアット・アバルト1000TCは、レーシングバージョンの「コルサ」に準じてモディファイされた、よりレーシーな1000TCコルサ仕様となります。

ヒルクライムに出場していたコルサ仕様

オーナーの角田さんが所有する、このフィアット・アバルト1000TCは、実際に当時のコンペティションに出ていたもので、以前はイタリア在住の日本人のオーナーが所有していたもの。イタリア本国で1000TCコルサ仕様にモディファイされたこのクルマに最初に乗った印象は、とにかく乗りにくくて仕方がなかったと言います。ヒルクライム競技用として高度にチューニングされたエンジンや耳をつんざく排気音など、まずは普通に街乗りが出来るようにセッティングするまでは大変だったそうで、晴れて日本でナンバーが付き、走れるようになってからも、数々のトラブルに泣かされたそうです。

日本の最新技術で、本来の走りが復活

角田さんがフィアット・アバルト1000TCに乗り始めてから、ずっと悩まされていたのがトランス・ミッションのギア・トラブルだったそうです。イタリア本国から取り寄せたさまざまなパーツを使って何度も修理するものの、同じトラブルを繰り返し、途方に暮れていた時、相談に乗ってくれたのは、世界的にも有名な大阪の工業用ナット製造会社でした。「個人のパーツ製作を引き受けてくれると思わなかった」と話す角田さん。快く1点もののパーツを製作してくれたそうです。製作してもらったパーツに変えてからは、すっかりトラブルもなく、好調を維持しているそうです。「こんなところに日本の最新技術が生きているんですよ」と、嬉しそうに話されていました。

これからも親子で楽しく走り続けます

フィアット・アバルト1000TCは、普段はラリーイベントや、ヒルクライムで乗られているそうで、クルマのセッティング上、競技性があったり、エンジン回転を上げて思いっきり走り込めるイベントの方が楽しいですからねとのことでした。そしてイベントには必ず同じくクルマ好きの息子さんと一緒に参加されるそうです。お二人とも小回りのきく小さなクルマを走らせるのが大好きという共通の趣向で、いつも交代でドライブされています。イタリアではコンペでしのぎを削っていたクルマも、そんな角田さんの元で沢山の愛情を得て、再び日本で楽しく走っているように見えました。

文 :平間裕司 編集・写真:脇本孝彦

FIAT ABARTH 1000TC

FIAT ABARTH 1000TC

フィアットのチューナーとして著名なアバルトが、フィアット600をベースに、ツーリングカー・レースに参加することを前提に製作されたのがフィアット・アバルト1000TCである。1961年に、当時のツーリングカー・レースのクラス分けにあわせて排気量を850ccにまで拡大、各部のチューニングをより高め、足回りを固めると共にディスクブレーキ備える850TCを送り出す。翌1962年には、1000ccクラス用に982ccまでスケールアップさせた1000TCと進化し、よりチューニングを高めた1000TCコルサは、長年にわたりツーリングカー・レースを席巻し続けた。

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