ALFAROMEO ALFASUD1.5ti

イタリア南部の魂が宿る
アルファロメオの革命車

update : 2018.12.21

イタ車好きの苦渋の選択

名車にまつわるオーナーの想いや素敵な繋がりを中心に紹介するコラム「LOVING THE CLASSICS」。第29回目は、1980年型アルファロメオアルファスッドをご紹介します。初代が発表された1970年当時、コンパクトながらも大人5人が乗れる大衆車として、斬新なデザインと革新的な技術で開発されました。イタリア語で「南」を意味するアルファスッドは、イタリア南部地方の雇用創出のために生み出され、イタリアの自動車経済史においても名を残した一台です。

少し古いイタリア車に目がないオーナーの北庄司さんは10年ほど前、インターネットで何か面白いイタリア車がないか検索をしていたところ、東京近郊にある、イタリア車に精通した職人の営む修理屋さんでこのクルマが売りに出ているのを見つけました。実車を見るなり、当時の雰囲気を残した佇まいの良さに一目惚れ。即決で購入を決められたそうです。実はその時すでにアルファロメオ75を所有していた北庄司さん。さすがに古いイタリア車を2台も所有し維持し続けることは難しく、家族の無言の圧力もあったため、惜しみながらも75を手放し、新たにアルファスッドとの生活を始めたのでした。

放置状態だった愛車

その数年後、兵庫県に住んでいた北庄司さんは東京に単身赴任することになり、アルファスッドは家族と共に自宅に残ることに。帰るたびにエンジンをかける程度で、ゆっくり乗ることができなくなりました。いつかは東京にアルファスッドを一緒に連れてきたい…。そんな思いで、職場への通勤が便利な場所でガレージ付きの住まいを探し続け、ついに理想の住まいを見つけたのが2年前。東京に連れてきたアルファスッドはほとんど面倒をみられなかった約5年の間、さまざまな機関が劣化し、すでにまともに走れる状態ではなくなっていたのでした。そんな愛車を復活させようと、久しぶりに購入したお店に持ち込んだところ、「大事にしてくれると思って売った車に何てことを!」とあまりの状態の酷さに、お店の社長に叱責されたそうです。しかし、自ら販売した哀れなアルファスッドの状態を見かねて、社長も一念発起してくれました。エンジンのオーバーホール、ブレーキ周りの修理、水廻り、各部のサビ取りや鈑金塗装、さらにくたびれていたシートもオリジナルに近い素材を見つけ張り直すなど、本来のコンディションを取り戻すべく奮闘。約2年かけて見違えるような状態に仕上げてもらったのです。

同じ境遇を感じる”スッド”スピリット

再び本来の姿に戻り、日常的に乗れるようになったアルファスッドに、「決して速くはないが、車重が軽いため、ステアリングの軽快さ、エンジンの吹け上がりの心地よさがたまらない」と語る北庄司さん、この車にはもう一つ特別な思いがあるといいます。「アルファロメオはミラノで生まれた会社ですが、アルファスッドはイタリア南部の雇用創出と南北格差の解消いう国策により、ナポリに工場を作り製造された大衆車。大阪南部生まれの人間として、何か共感できるところがありますね」と、アルファスッドとの“腐れ縁”を楽しんでおられました。

取材・文・写真 : 脇本孝彦

ALFAROMEO ALFASUD1.5ti

ALFAROMEO ALFASUD1.5ti

1971年に登場したアルファッスッドは、アルファロメオ社初の前輪駆動、新開発の1,200cc水平対向エンジン、四輪ディスクブレーキ、といった当時の最新の技術を備え、さらに優れた居住性とデザイン性を両立しながらも価格を抑えた小型大衆車としてデビューを果たす。当初の2ドアと4ドアのほか3ドアワゴンが追加、1976年には1,300cc、3ドアスポーツクーペのスプリントが誕生。初期モデルでは製造品質が問題視されるもその後改良を重ね、最終モデルではエンジンも1,500ccと強化され、1989年まで製造された。

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