FIAT PANDA 1000CL

ジウジアーロが生んだ、
イタリアンコンパクトの傑作

update : 2019.04.19

家族の一員となった、愛すべきスモール・フィアット

名車にまつわるオーナーの想いや素敵な繋がりを中心に紹介するコラム「LOVING THE CLASSICS」。第30回は、1989年型フィアット パンダ1000CLをご紹介します。オイルショックの影響により、安価で簡単な構造ながら、十分な室内空間を持つ実用車をという構想から、ジョルジェット・ジウジアーロ率いるカロッツェリア・イタルデザインが開発を担当した小型車です。

イタリア車が好きなご主人のアドバイスでフィアット パンダを購入した倉重さん、実はこのクルマはご自身にとって2台目のフィアットパンダでした。はじめに購入した1台目のパンダから、一度は違うクルマに乗り換えたものの、愛着のあったフィアット パンダがどうしても忘れられず、今ではすでにビンテージカーとなったパンダを再び購入されたのでした。

苦渋の決断で手放した1台目

古いイタリア車やモーターサイクルが大好きなご主人の勧めで乗り始めた1台目のフィアット パンダ。女性にも運転しやすいということでオートマチックを希望したこともあり、『1100セレクタ』と呼ばれる無段変速機(CVT)を備えたモデルでした。コンパクトで乗りやすいサイズと、元気なエンジンで、すぐに大のお気に入りとなったそうです。一人で出かける時に故障で止まってしまったこともあったそうですが、ご主人から故障の内容によっての対処法をマニュアル化してもらうことで、トラブルを起こしても、そう不安になることはなかったといいます。1台目のパンダは、ご自身の趣味である写真撮影のほか、近所のスーパーへの買い物、全国からパンダオーナーが集まるミーティングなど、どこへ出かけるにも欠かせない存在でした。ラジエーターを始め、さまざまなパーツを交換するなどメンテナンスを楽しみながら、1年1万キロ以上の走行をこなしていたのですが、とうとうCVTのトラブルにより、苦渋の決断で新たな車に乗り換えることになったそうです。そんな楽しい日々を共に過ごしたパンダが去って行く日は、家族がいなくなるような悲しい気持ちになってしまい、大泣きをしてしまったそうです。

新しくやってきた“古いパンダ”

1台目のパンダが去ったあと、新たなクルマに乗り続けるも、パンダのことがどうしても忘れられない倉重さん。ご主人に相談し『やっぱりもう一度パンダに乗ろう!』と新たなパンダ探しを決意します。旧車の特性をよく知るご主人は、1台目からの経験から、最終型のようなコンピュータなど電子部品のない、キャブレターのマニュアルミッション仕様のモデルであれば、何とかトラブルにも対応できるのではないかという思いで、1990年まで製造されていたこのモデルを探されたそうです。そう簡単に見つかることはないと思っていたこのモデルのパンダ、ある日1台目を買った同じお店で偶然にも発見、もちろん迷うことなく購入。購入後は少しずつ改良を重ねながら、現在も当時の雰囲気を保たれているそうです。1台目のパンダと同様に愛情を注がれることになった新しい“古いパンダ”、天気の良い日はダブルサンルーフを全開に、倉重さんを乗せて元気に走り回っています。

文:平間裕司 編集、写真:脇本孝彦

FIAT PANDA 1000CL

FIAT PANDA 1000CL

初代モデルとなるフィアット パンダは、1980年から2003年までの23年間にわたり、大きな変更を受けずに販売された。パンダの名称は、初代モデルの開発当初、主要市場として中国を考えられていたことによる。すべての窓を平らな板ガラスとし、ボディーは直線と平面による構成にするなど、製造コストの削減を考えた構成となったが、鬼才ジウジアーロのデザインにより、簡潔ながらもスペース効率に優れたスタイリングとなった。また1983年には、エンジン横置き前輪駆動車をベースの市販車で世界初となる四輪駆動モデル4x4(フォー・バイ・フォー)も追加された。

pagetop