FIAT 500

“チンク”の愛称で親しまれる、わずか500ccのイタリア国民車

update : 2019.12.25

イタリアからやってきた2歳年上のチンクエチェント

名車にまつわるオーナーの想いや素敵な繋がりを中心に紹介するコラム「LOVING THE CLASSICS」。第38回は、1973年型フィアット500(チンクエチェント)をご紹介します。このフィアット 500は、 “トポリーノ”(ハツカネズミ)の愛称で親しまれた初代500の後継モデルとして1957年に登場し、NUOVA 500(新500)と称されて大ヒットしました。今回取材をしたクルマは500Rという最終モデルで、479ccでスタートしたエンジンは594ccまで拡大されています。

オーナーの辻さんは、このフィアット500を18年前に購入されたのですが、イタリアでレストアされ日本に来てからは、辻さんのワンオーナーとなります。 自分の生まれた年にちなんだフィアット500を探されていた辻さんは、年式が近かった2歳年上であるこのクルマに決められたそうです。

最初はトランスミッションの操作練習から

最初にドライブされたときは、現代のクルマには見ることのないノンシンクロ型と呼ばれるマニュアルトランスミッションの操作が難しく、上手く走らせることが出来なかったといいます。ノンシンクロ型はシフトチェンジの際、エンジンの回転を合わせ、“ダブルクラッチ”という特別なクラッチ操作の技術を必要とするため、走り込んで練習を積まれたそうです。また、納車日にいきなり雨漏りがあったり、ドライブ途中にクラッチペダルが折れてしまったりということはあったそうですが、それでも辻さんにとってこれらはマイナートラブル。クラッチペダルが折れたときには、ご自宅の近所だったこともあって、ご自分でクルマを押して帰られたそうです。「小さなクルマなら、こんなトラブルの時でも何とかなるものなんですよ」と、笑いながら話されていました。

小さなクルマを全力で走らせる楽しさ

辻さんが最近夢中になっていることは、フィアット500でのサーキット走行だそうです。一見小さくて非力なフィアット500ですが、全開で走らせることは素晴らしく楽しい時間だそうです。特徴的なギアシフトを使って非力なパワーを使い切ると、速くはないもののよく走るエンジンや、工夫してスピードを落とさないコーナリングなど、街中では感じることの出来ないフィアット500の走りを体感できるといいます。同乗していた奥様は「休みの時も1人でサーキットに行っちゃうんですよ」と苦笑いでしたが、お二人での買い物やドライブも、もちろんフィアット500。クラシックなイタリア庶民の足こそが、辻さんご夫妻の人生を楽しく過ごすための、最高のツールなのかも知れません。

文 :平間裕司 編集・写真:脇本孝彦

FIAT 500

FIAT 500

2代目となるフィアット500(チンクエチェント)は、1957年に誕生した最初の「Prima Serie」ことファースト・シリーズから、「Normale」、「500D」と改良され、1965年以降の後期型「500F」、「500L」へと引き継がれ、1972年には最終型の「500R」となって、1975年の生産終了までに通算で約400万台が製造された。現在もヨーロッパに留まらず世界各国に熱心なファンが存在しており、日本ではアニメ「ルパン三世」に登場する車としても広く知られる。その後、初代フィアット500の発表からちょうど50年後の2007年3月に全く新しい設計のフィアット500が発表された。

1970~1979
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